ファッションという切り口で時代を読み解き、研究を続けられてきた中野香織さんに、「大人の美」についてインタビューさせていただきました。ファッションだけでなく、映画や香り、アートについても造詣が深い中野さんが追求する「美しさ」とは。


着飾ることでごまかさない、より本質的なところが大事になってきている


――　先日ご体験いただきましたトリートメント、「イドラルッソンスヴィサージュ」はいかがでしたか。

トリートメント、すばらしかったです。完全にリラックスできるような繊細な配慮がいたるところになされていて、その行き届いたホスピタリティに心底、感動し癒されました。効果はめざましく、水分がみっちり行きわたり、あふれ出てくるようなセレブ艶肌になり、すっぴんで帰りましたが、息子たちに「肌が発光している」と驚かれました（笑）。心身と肌の疲れがすべて溶けて流れていった感じがします。


――　気に入っていただけて嬉しいです。中野さんは、ファッションの一部として、香りについても様々な文章を書かれていますが、YON-KA製品の香りはいかがでしたか。

化粧水をスプレーする段階から癒されて、心が満たされるような感じがしました。自然の香りは疲れず、飽きのこないことが最大の特徴ですが、その良さをYON-KAの香りで味わうことができました。人工的な香りも、時として必要だと思いますが、YON-KAは自然の香りならではの癒し効果を凝縮したような、本質的な香りだと思います。


――　以前、中野さんのコラムで、人工香料が開発されてから、「女性的」「男性的」な香りという概念が生まれたとのお話がとても興味深かったのですが、エッセンシャルオイルのみのブレンドで生み出されるYON-KAの香りは、男性・女性どちら向きといえますか。

私の知っている男性でもYON-KAのファンは多いのですが、そこからもわかるように、男性にも女性にもどちらにも受け入れられる、男性女性を超越した香りだと思います。それはトランスジェンダーなものというよりは、もともとの男性性も女性性もはっきりもってそれが調和したことで生まれるような、両性具有的な面白さを持っている香りです。ある意味、すごく今っぽいですね。


――　「今っぽい」というのは、新しい発見です。YON-KAは60年以上の歴史があるのですが、その間、製品や香りはほとんど変えていないので、逆に「古さ」を感じるのかな、と思っていたのですが、そんなことはないですか。

香りという側面から見ると、とても新しい感じがしますね。流行の香料を入れて、今っぽい香りで売り出して、2－3年でトレンドにあわせて変えていく戦略のブランドは多いですが、YON-KAは時の流れを越えているところが面白いです。それは、本質をしっかりとおさえていて、本質で勝負しているということだと思うので、そのコンセプトは逆に新しいと感じます。

ファッションでも、ここ最近のトレンドとして、アクセサリーもつけず、ヘアメイクも豪華にせず、素肌の美しさだけで勝負する、というものが目立っています。素の自分で勝負する、というトレンドがあり、パーティだからといってことさらに飾り立てないことが多くなっています。着飾ることでごまかさない、より本質的なところが大事になってきているといえますね。

＞ ②に続く



PROFILE：
エッセイスト 中野 香織

明治大学国際日本学部特任教授。
東京大学大学院修了、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て、文筆業に。フリーランスの服飾史家として活躍中の2008年、明治大学が国際日本学部を創設するにあたり、特任教授に就任。ファッション史や最新モード事情から人間の心理や社会を照射するエッセイに定評がある。ダンディズム、ジェントルマンシップに関する歴史研究においては第一人者。

著書『モードとエロスと資本』（集英社新書）、『ダンディズムの系譜　男が憧れた男たち』（新潮選書）、『愛されるモード』（中央公論新社）、『スーツの文化史』（『スーツの神話』（＜文春新書＞Kindle版）ほか多数。翻訳『シャネル　スタイルと人生』（文化出版局）ほか、『英和ファッション用語辞典』（研究社）の監修も。新聞・雑誌・ウェブ連載記事を月に７～８本書くほか、講演、トークショー、各種メディア出演多数。百貨店、美容院グループなど企業の研修講師も務める。最新監訳書『シャネル革命の秘密』（ディスカヴァー・トゥエンティワン）発売中